ガス屋さんなら言わずと知れた「乾太くん」。
昨今のプチブームに乗って、「うちも本腰入れて販売しよう!」と盛り上がってる会社さんも多いのでは?
だが、ちょっと待って欲しい!
いいものだからと言って、全てのお客さんが乗り気になってくれる訳ではありません。
アプローチの仕方によっては、マイナスの印象を持たれることもあります。。
でも、安心して下さい。
乾太くんがいいものであることに違いはありません!
ちょっと伝え方を気を付けるだけで、乾太くんを見る目は全然変わります。
私自身がやってきた失敗も含めて共有します!
ここでは、同じくガスの魅力を伝える営業マンの一員として、これまでに見聞きした乾太くんのPRの仕方について見解を述べさせて頂きます。
ドラム式を買ったばかりの人には、絶対にお勧めしてはいけない
全自動で洗濯から乾燥までやってくれるドラム式洗濯乾燥機。
QOL爆上げ家電として最有力として紹介されています。
いわば、乾太くんの競合とも言える存在です。
とは言え、乾太くんと比較した時に弱点は大きく2つあると感じます。
・耐久性(消費者の実感です)
・2回以上の洗濯する時に時間がかかる
他にも多々ありますがここでは割愛します。
さて、本題のなぜ「買ったばかりの人」にススメてはならないのか。
お客様は「ドラム式に20万円近くの投資を既にしてしまっているから」です。
20万円。。
こんな高額なお買い物をして「いや、それより乾太くんがいいよ」なんてことを言われたらどうでしょう?
人には自分が取った選択肢を間違いだと思いたくないという心理(コミットメントと一貫性)が働きます。
つまり、ドラム式を購入したお客様は、基本的に誰が何と言おうとドラム式の方が優れていると思いたい傾向にあります。
これは逆の立場(乾太くんを買ったとき)でもそう言えるかもしれません。
この状態のお客様に何を言っても疎まれるのは必至で、言えば言うほどその態度は強固なものになっていってしまいます。
では、どうすればよいか?
時間を置くに限ります。
時間が立てば、冷静にその弱点を見ることができるようになります。
私がよく使うセリフは
「ドラム式はいいみたいですね~。乾燥機に移し変えなくても乾燥までそのままやってくれるんですよね?寝てる間に全部終わるって便利ですよね~。」
だけです。
本当は乾太くんが優れている点をガンガンPRしたいところですが、言えば言うほどお客様のストレスにしかなりません。。
私に対する印象も悪くなるだけでしょう。。
しかし、何も諦めている訳ではありません。
心の底では
「多分2,3年で調子が悪くなる」
「そのうち1回の洗濯じゃ足りなくなる」
とか思っています(嫌なやつですね)。
もし、ドラム式に不満が見えてきた時に「そういえば乾太くん何てのあったな。」と思い出してもらえればいいのです。
実際に私が販売してきたお客様には、ドラム式を買ったけど満足できなくて乾太くんを買うことにした方が結構多くいらっしゃいます。
具体的には、2年くらい経過した頃のお客様が多いように感じます。
仮にドラム式に対して不満があったとしても、気持ちの折り合いをつけるにはこの位の期間が必要なのかもしれませんね。
乾燥時間をカタログ通りの「80分」と言ってはいけない
これは、私の失敗談です。
「乾燥時間って何分かかるの?」
とのお客様からの質問に、
「5kgで52分、8kgで80分です」
とカタログ通りの説明をしました。
ね?電気式に比べたら、全然早いでしょ?というつもりでした。
しかし、返ってきたのは
「え~、結構時間かかるんだね。コインランドリーだったら30分だよ。」
でした。
実際には、コインランドリーも乾太くんも大差はありません。
乾燥するものの内容によっては、コインランドリーでも40~50分かかることもあります。
しかし、このお客様に限って言えば、ご自身これまでの実体験で30分で乾くと認識されていました。
この「実体験の30分」と比較したときに、「乾太くんは時間がかかる」という認識になってしまいました。
これは、比較の対象がフェアではないのです。
このお客様がおっしゃっていた30分というのは、それほど多くない量で、しかも厚手の洋服を含まない洗濯物をコインランドリーで乾燥していました。
対して、乾太くんの52分、80分という時間は最大容量を詰め込んだ時の所要時間です。
同じ内容だったら、乾太くんでも30~40分で乾燥できたのです。
上記の表は、乾太くんの標準モードで回した時のメーカーの実証実験による結果です。
「8kgで80分かかる」と言われるよりも、
「少量なら30分で乾く」と言った方が魅力的に感じないでしょうか?
そして実際に、お客様も乾燥機をいっぱいに詰め込んで乾燥されることは少ないので、体感として同じく「30~40分で乾く」という認識の方も多いです。
もちろん、販売店として嘘を教えるわけにはいかないので「いっぱい詰め込んだ時には、長くて80分かかる」という説明はしなければなりませんが、これだけでは一番不利な時間しか伝わっていません。
私はこの一件以来、乾燥時間をPRするときは「少量なら30分で乾く」という魅力を中心にお話をします。
例えば、朝起きた時に、子供の体操着を洗うのを忘れていたことに気づいたシチュエーションを想像してもらいます。
後1時間で洗濯から乾燥までを終わらせなければならないとしたら、対応できるのは「自宅に乾太くんがある」ご家庭だけだと思います。
コインランドリーは、確かに同等以上の乾燥スピードがありますが、そこに持ち込む時間や、出かける身支度など考えればととても1時間では終わりそうにありません。
乾太くんであれば、洗濯を手洗いで済ませて、洗濯機で脱水、ここまでを30分で終わらせれば、あとは乾太くんに入れるだけで1時間で乾燥までおわらせることができるのです。
私はこの具体的なエピソードで、初めて乾太くんのスピードの真価が伝えられると考えています。
「無料だからお試ししてみませんか?」は警戒されるに決まってる
多くの販売店が乾太くんの販売に力を入れている中、「無料の貸出サービス」を実施されている販売店は多い様です。
もちろん、これ自体は悪いサービスではありませんし、ミスマッチを防ぐのにとても効果的でお客様にとってもありがたいものです。
しかしながら、「タダより怖いものは無い」という言葉があるように、「無料」というモノには何か裏があるように感じる方はとても多い様に思います。
街頭で配られるティッシュ、子供に渡される風船、数々の「無料」に対して現代人は反射的に拒否反応が出てしまうものです。
ここで伝えたいのは「無料」がかえって警戒心を煽ってしまうのではないか?ということです。
「無料?どうせ借りたら断りにくくなるってやつでしょ?」という感じで、サービスの印象をかえって悪くしてしまうことを危惧しています。
実際に、気の置けない友人に対して「無料でお試し」で勧めてみたところ、率直に上記のような理由で拒否されました。
これがお客様の本音だと思います。
だからと言って、無料のお試しサービスが悪いということではありません。
真剣に購入を検討されているお客様にとって、お試しができることは安心して検討でき、大変ありがたいものです。
しかし、そういったお客様は、無料でも有料でもお試しサービスを利用するのではないでしょうか?
そこで、私は無料ではなく「1,000円でお試し」ということにして、ご成約頂いた場合はお試し料金は0円としました。
いわば「やっぱりいらないと感じたら、ごめんなさいの1,000円を下さい」としたのです。
これならばお客様は、お試しサービスに対して対価を支払う形が取れ、遠慮なくお試しできると考えたのです。
また、「無料目当て」の冷やかし利用も防ぐこともでき、一石二鳥と考えるようにしました。
これは、あくまで一案であり地域性や会社の方針によって対応は様々かと思いますが、「無料」を売りにすることのリスクも考慮すべき時代であると私は考えます。
「電気は乾かない」を過信してはいけない
「乾太くんの乾燥スピードは電気の約3倍」という謳い文句があります。
これ自体はメーカーの示す根拠もありPRすることに問題はありません。
だからといって「電気は乾かない。」を殊更に言いすぎるのも問題です。
実際に、ドラム式と乾太くんのどちらにするか迷われているお客様から伺ったお話で、他社のガス屋さんに話を聞いてみたところ「いや~電気は乾かないですからねぇ~」の一点張りの説明を受け、不審に感じたそうです。
前述しましたが、ドラム式を購入した人は、ドラム式に対してとても満足していることが多いのです。
ということは、ドラム式にはドラム式の良さがちゃんとあるということです。
このことを正しく理解せずに一方的に否定するべきではありません。
洗濯物の量、ライフスタイル、仕上がりのこだわり度等によって、ドラム式の方がお客様のニーズに適っていることだってあります。
私は、1日の洗濯がドラム式1回分に収まるのであれば、全然メリットがあると思います。とお伝えしています。
乾太くんのように洗濯機から移し変えることなく、夜寝ている間に洗濯から乾燥までを一気にやってくれるのですから。
ドラム式と乾太くん迷われている方が求めているのは、公平に比較できる検討材料です。
例えば、乾燥温度はドラム式の乾燥温度は一般的に60℃であるのに対し、乾太くんは80℃、と数値的に分かりやすいです。
「80℃だと縮んだり傷みが気になる」という場合は、「デリケートコースで60℃の低温乾燥もできますよ」とも説明します。
こうして、きちんと違いを説明できるかできないかで、信頼度が全く変わってきます。
「電気は乾かない」だけで押し通してきちんと説明しないのは、厳しく言えば営業マンの怠慢だと思います。
分からずとも調べながら、お客様の懸念を共に考えていく姿勢が大事だと思います。
「乾燥以外」のことに無関心ではいけない
分かり切ったことですが、乾太くんは衣類乾燥しかできません。
つまり、「洗濯」という家事においては一部の工程にすぎません。
「洗濯」というテーマは一冊の本になるほど奥が深いです。
お客様はトータルで「洗濯」ということについて考えるのです。
ここで「洗濯は洗濯機がやることだから」と無関心ではいけないと思います。
私は乾燥に限らず「洗濯」に関する記事を読むようにしています。
例えば、「ドラム式とタテ型洗濯機ではどちらが洗浄力が強いのか?」というお題でどれだけ話ができるでしょうか?
私はタテ型を推しますが、その際に「日本は軟水のエリアが多く、軟水は洗浄力が高いので、より多く水を使うタテ型の方がよい。ドラム式は上から落として叩きつけて洗うが、これは硬水の海外には向いているが日本は軟水なのでそんなに向いていない。タテ型の場合は、叩きつけるというより衣類同士が擦れることで汚れを落とす。」等、それなりの情報を持っています。
また、昨今流行りの「温水洗浄」や「ナノバブル洗浄」についても調べていて、新築時には蛇口を混合水栓にしておくことをおススメしたり、本体がナノバブルに対応していなくても取り付け口にアタッチメントをつけるだけでナノバブル洗浄ができる、等の小ネタも用意しています。
こういった、一見ムダに見える知識でも「乾太くんの専門家」より「お洗濯の専門家」の方が信頼を得られると思いますし、仮に初対面であってもここまで洗濯について話ができれば相手も楽しく、興味深く話を聞いてくれます。
乾太くんに本気で取り組みたい!という方は、他社と差をつけるという意味でも、ぜひ「洗濯」というテーマに興味を持って頂きたいと思います。