「ガスメーターをネットワークにつなぐ」
この試みは以前から何度も行われてきたそうです。
電話回線、PHS回線を用いて本腰を入れて全戸対応したガス販売店もあったことと思います。
筆者はその時代をガス屋さんとして過ごしていないので、メーターがネットとつながる!と聞いただけで心が踊ったのですが、意外と否定的な意見が多いことに驚きました。
LPWAは簡単ですぐ導入できる
特に「電話回線時代」を体験された方は
「せっかく導入したのに、お客様が電話回線を解約されて使えなくなった。。」
「毎回通信業者を呼ばなきゃいけなくてめんどうだった。。」
という苦い経験をされたようで、なるほど、悪い印象になってもおかしくはないのかな。。と
では、LPWAもそうなのか?というと、全く心配する必要はありません!
お客様の回線を間借りすることはないので、お客様の都合で使えなくなる心配はありません。
設置も非常に簡単で、ドライバー1本と結束バンドさえあれば自社の社員で簡単に行えます。
電話回線の当時を知る社員が1台目を取り付けての第一声。
「これはめっちゃ簡単ですね!」
60歳を同僚も難なく設置することができていました。
また、LPWAは携帯電話と同じ回線を使用しているので、携帯電話の電波が届く範囲は問題なく通信できます。
私は宮崎県都城市で設置しましたが、圏外になることはほとんどなく、マンションなどでパイプシャフト内にメーターがあった場合でも特に問題なく通信できています。
都会の建物密集地での通信については体験したことがないので分かりませんが、私の体感としては余程の僻地でない限りは問題なく繋がっていると思います。
メンテナンス面では、電池駆動で10年動く!と驚きのタフさ。
通信機器でここまで長く電池が持つことは珍しいのではないでしょうか?
もちろん、これから見えてくる問題もあるのかもしれません。
しかし、全戸LPWA導入をした体験だけで筆者が言わせてもらえるなら、
「導入はめっちゃ簡単」です!
「検針に行かなくてよくなる」だけじゃない!
導入を躊躇されている方のお話を聞くと
「検針の効率化にそんなにお金かけられない」
「検針員を雇った方が安い」
等のコスト面で躊躇われていることが多い様に感じました。
確かに検針業務に関して、現状では人にお願いした方が安くなる場合が多いと思います。
しかし、それだけで思考停止してしまうのはあまりにもったいない!
全戸導入して、検針に行かなくてよくなるということはLPWAのほんの一面でしかなかったと気づきました。
検針の質が上がる
これまで検針といったら、検針員さんが一定期間の間にエリアを回って検針していく、というスタイルが多かったのではないでしょうか?
すると、年末年始やGW等の連休をはさんだり、台風などの災害が発生したりすると、どうしても1か月の検針サイクルが狂ってしまう事も。。
「何か今月ガス代高いんですけど!!」
調べてみたら、前回検針日から40日近く経ってる。。
LPWAは設定した検針日で確実に指針を取得して来てくれます。
例えば毎月1日に取得するように設定しておけば、元日にもほぼ同時刻に全世帯分の検針値が取得できます!
これは、めちゃくちゃ感動します^^
稀に、電波状況などで検針データが取得できていない場所も出てきたりしますが、再取得や最悪取得できなかった世帯だけハンディで検針すればいいので、なかった頃と比較するとストレスは段違いです!
お客さんがいつ・どのくらい使ったのか分かる
LPWAを付けて数か月後のこと
「実家のガス代が高いんだけど!もう家に誰も住んでいないから使ってないはずなのにおかしい!」
という問い合わせがありました。
このお話に限らず「こんなに使ってないのにどうなってるんだ!」「どっかでガスが漏れてるんじゃないの!」というお問い合わせは結構多いのではないでしょうか?
私は事務員さんがこの問い合わせの対応をしているのを横で聞いていたのですが、驚くことを話し始めました。
「●●様、先月の17日ごろから3日間くらい使用量が増えているみたいなんですが、何かお心当たりはございませんか?」
さらに
「・・ええ、おそらく夜の8時くらいから3日間ほど使用されているようでして。。」
何と!LPWAによって、毎日検針が飛んできているためいつ・どれくらいガスを使ったかが分かる。これをあっさり活用してお客様にガスの使用状況について明確にご説明していたのです!
現代っ子ってすごいですねぇ。
問い合わせされてきたお客様も、かけてきた時は不審に満ちた様子だったようですが、ご説明すると「あ~!そういえば親戚が集まるとか言ってたわ!そういうことね~ありがとうございます~」
と、納得されて電話を切られたとのことでした。
一歩間違うと不審につながってしまうガス料金の説明対応。
ともすればピンチの場面ですが、LPWAを導入したことで、逆にきちんと管理できていることをアピールできるきっかけに変わりました。
継続使用遮断(AC遮断)する前に通報が来る
「ガスが点かない!」といって駆けつけた時、結構な確率であるAC遮断。
電話口でメーター復帰の説明をして納得して頂けるお客様もいれば、
「メーター?分からん!怖いから早く来て!」
と、とにかく来て欲しいと訴えられる。。あるあるですねぇ。。
実は、ガスメーターはAC遮断は遮断する数分前に通報してくれています。
ただ、LPWA等の遠隔検針を導入していないと知る由はありません。。
LPWAを導入することで、この通報が上がった時、すかさず電話をして「何か点けっぱなしになってるガス器具はございませんか?」で先手を打つことができます!
時間内にガスの使用を一旦停止してもらえれば、メーターは停止することなく継続使用して頂けます。
この電話をすると「煮物をしてたのよ。ありがとう~。ご飯に間に合わないところだった。」「そんなことまで分かるの?しっかりしてるねぇ~」という具合に、とても喜ばれ、信頼度も上がります。
しかしながら、夜中にこの通報が上がってきたときにどうしようか。。という話もあります。。
深夜寝ているかもしれない時間帯に、電話をするなんて非常識かも。。
という遠慮から、気づいてはいても向こうから連絡があるまでは待機するしかないジレンマに出くわします。
ここはもう一歩踏み込んだテクノロジーの活用を!
ということで、私は通報が上がってきた場合はお客様の電話番号にSMSを転送するシステムを開発しました^^
電話だとビクッとしてしまうけど、SMSならそこまで失礼にならないかな?と。
AC遮断以外の通報も、一通りSMSを転送することで、お客様自身でメーター復帰をして頂ける機会が増えました。
というのも、現代人は何か起きた時にとりあえずスマホを見るもの。
「何で使えなくなったかネットで調べよう」「ガス屋さんに助けを求めよう」いずれの場合もスマホを手に取るわけです。
手に取ったスマホにSMSが届いていて「~~の理由によりガスメーターが遮断しました」と表示されていれば、原因も明確になって納得して復帰ボタンを押していただくように誘導できる、という訳です。
我ながらなかなかの発明だなと、結構お気に入りの機能です^^
実はガスメーターに付いてた知られざる機能達
我々が普通に使っているマイコンメーター。実は使われていない機能が沢山あります。
センター遮断:センターから遠隔でメーターを遮断し、センターから復帰許可がでないと現地での解放操作も受け付けません。特に滞納世帯への閉栓に用いられます。
プリペイド機能:設定した分だけガスを供給し、超過するとガスメーターが遮断します。料金を前払いにして1万円分のガスだけ流してあげるといったことができます。
ロードサーベイ:1時間毎のメーター指針の推移がガスメーター内に保管されており、LPWAによりそのデータが毎日クラウド上に送られてきます。先の「~時ごろにご使用されているようですね。」といった対応はこのロードサーベイの情報を見ています。
アイディア次第で付加価値を付けられる!
LPWAの特徴を理解した上で、その活用を考えていくと色んなアイディアが出てきます。
私は365日毎日飛んでくる指針データを活用して「見守りサービス」というものをやってみようと、地方自治体と協力して団地の見守りサービスを検証しています。
単純にメーターの指針が2日動いていなかった時に、片っ端から電話で安否確認をするだけですが、一人暮らしで不安をかかえている方からはとても感謝されます。
また、プリペイドを応用したガス衣類乾燥機の定額レンタルサービスを思いつき、自社システムを構築して本当にサービスインしました。
何と、記念的に申請した特許も通ってしまい、LPWAで特許取得を実現することができました^^
これらは、やってみないと分からない部分が多々あったのでかなり勇気がいりましたが、意外と世間は喜んでくれるものだなと感じています。
まだまだ可能性があるLPWA、あなたのアイディア次第で新しいサービスを構築して付加価値をつけることも決して無理ではないです。
まとめ
いかがでしたか?
検針だけではなく日常業務からサービスまで、質が変わってくることが伝えられましたでしょうか?
人がやっていたものをテクノロジーで、という置き換えばかりが注目されますが、さらに一歩踏み込んだ展開をすることだってできます!
もし興味がある方は、お気軽に「がすらぶ」までお問い合わせ下さい^^